Create Music Groupが22億ドル評価額で450億円調達──「ミュージシャンのための会社」は何を目指すか

「アーティストのための音楽会社」という言葉は使い古されているが、それを本当に実現しようとしているスタートアップがある。

Create Music Groupは2026年3月、4億5,000万ドル(約450億円)の資金調達を完了し、評価額は22億ドルに達した。わずか2年前の評価額10億ドルから2倍以上に成長した。レーベル・ディストリビューション・テクノロジーを一体化した彼らのモデルは、音楽業界の旧来の収益構造を変えようとしている。

目次

Create Music Groupとは何者か

Create Music Groupは2015年にロサンゼルスで設立された「デジタルネイティブな音楽・メディア・テクノロジープラットフォーム」だ。独立系レーベルの買収と育成、アーティスト向けのロイヤルティ管理、データ解析、デジタルマーケティング支援を一体で提供する。

傘下にはMonstercat(エレクトロニック系)、!K7 Music(クラブ・エレクトロニック系)、Cr2 Recordsなど複数のレーベルを持つ。また、独立系レーベルの老舗Nettwerk Music Groupに3億ドルの戦略投資も行った。

CEOのJonathan Straussは「ティーンエイジャーのデイトレーダーからポストプロダクション、そして音楽業界の変革者へ」と評されている。メジャーレーベルの論理を内側から知らない異業種出身のキャリアは、「レーベルはこうあるべき」という固定観念を持たないことの強みでもある。

何が「ミュージシャンのため」なのか

メジャーレーベル(Universal・Sony・Warner)と独立系Create Music Groupの大きな違いは、ロイヤルティ分配の透明性とアーティストの権利保持にある。

Create Music Groupが買収した傘下レーベルは、アーティストに収益の詳細をリアルタイムで確認できるダッシュボードを提供している。これは大手レーベルが四半期ごとに不透明な明細書を送ってくる旧来型とは対照的だ。

また、同社の特徴のひとつは「投資型アプローチ」だ。単に楽曲の著作権を買い取るのではなく、レーベルやアーティストの事業全体に投資し、成長の恩恵をシェアする形をとっている。

450億円の使い道

今回調達した資金の用途として、同社は以下を挙げている。

さらなる買収と戦略投資(独立系レーベルや音楽カタログ)

テクノロジー開発(データ解析・ロイヤルティ管理システムの強化)

グローバル展開(特にラテンアメリカ・アジア太平洋)

過去12か月だけで5億ドル以上を買収・成長投資に費やしており、この資金調達でさらにペースを加速させる見通しだ。

日本への示唆:「搾取しない新しいレーベルモデル」

日本の音楽市場には、独立系アーティストが契約するインフラが乏しい。DistroKidやTuneCoreで配信はできるようになったが、マーケティング・ライセンシング・ライブ集客・マーチャンダイジングを一体で支援するプレイヤーは少ない。

Create Music Groupが描くモデル──「テクノロジーとデータを使ってアーティストの収益を最大化する、透明性の高いレーベル運営」──は、日本では未開拓の領域だ。すぐに日本市場に参入してくるわけではないが、このモデルを参照して国内での独自展開を試みる動きは今後出てくる可能性がある。

重要なのはプラットフォームの選択よりも、誰とどんな契約をするかという交渉力だ。日本のインディーアーティストにとって「どのレーベルと組むか」という問いは、「どのくらいロイヤルティを開示してもらえるか」という問いとほぼ同義になりつつある。Create Music Groupの台頭が示す基準を知っておくことが、国内でいざ交渉の場に立ったときの判断軸になる。


参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/create-music-group-at-2-2-billion-valuation-completes-450-million-fundraise/


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