録音音楽の世界収益が初めて315億ドルを突破──IFPI「グローバル音楽レポート2026」が描く産業の現在地

録音音楽の世界市場が、また一つ節目を超えた。

IFPIが3月18日に発表した「グローバル音楽レポート2026」によると、2025年の世界録音音楽収益は前年比6.4%増の315億ドルに達し、11年連続の成長を記録した。そして初めて、有料ストリーミングの収益が全体の52.4%を超えた

ストリーミングが音楽産業の「基盤」として完全に確立した年、それが2025年だった。

目次

数字で見る音楽市場の現在地

レポートの主要指標を整理する。

「有料加入者8億3,700万人」という規模感を考えると、有料ストリーミングはすでに「成長中のサービス」ではなく「インフラ」だ。世界人口の約1割が月額料金を払って音楽を聴いている。

ビニール盤が19年連続成長という事実

デジタル一辺倒ではない。

フィジカルフォーマット全体は8.0%成長。中でもビニール盤は13.7%成長で19年連続の伸びを続けている。CDが縮小するなかで、レコードだけが「コレクターズアイテム」「体験型購入」として根強い需要を保っている。

音楽を「聴くもの」から「所有・体験するもの」として売る市場は、デジタルとアナログで二極化しながら両立している。

成長が速いのはアジア・中南米・アフリカ

地域別の成長率を見ると、音楽市場の「重心」の移動がわかる。

ラテンアメリカ:+17.1%(16年連続成長)

MENA(中東・北アフリカ):+15.2%

サブサハラアフリカ:+15.2%

アジア:+10.9%

ヨーロッパ:+5.6%

USA & カナダ:+3.5%

米国・ヨーロッパという従来の「中心市場」はすでに成熟フェーズに入り、成長エンジンはグローバルサウスに移っている。ラテンアメリカが16年連続で成長し続けているのは、スペイン語・ポルトガル語コンテンツのグローバル化が音楽産業を動かしている証拠だ。

日本を含むアジアが10%超で成長しているのも注目に値する。日本語コンテンツが海外でどう広まるかは、日本のアーティストにとって現実的な可能性になりつつある。

「音楽が売れない時代」は終わった

20年前、音楽産業はCDの崩壊とP2Pの台頭で「終わりの始まり」を語られていた。それが今、11年連続成長・315億ドル市場になった。

ただし、この成長の恩恵が均等に分配されているわけではない。IFPIのレポートはメジャーレーベルを中心とした「業界全体」の数字であり、個別アーティストの収入がどう変わったかは別の話だ(それはSpotifyのLoud & Clearが詳しい)。

それでも、市場の方向性として「成長している産業の中で活動している」という前提は、アーティストの戦略を考えるうえで重要な出発点になる。縮小する業界でどう生き残るかと、成長する業界でどうシェアを取るかは、考え方が根本から違う。


元ネタ: https://www.ifpi.org/global-music-report-2026-global-recorded-music-revenues-grow-6-4-as-record-companies-drive-innovation/

調査日: 2026-03-29


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