Ackmanが6.4兆円でUMGに買収提案——アーティストにSpotify株900億円分配の計画も

ビル・アックマン率いる投資会社パーシング・スクエアが、音楽業界の巨人ユニバーサルミュージックグループ(UMG)に大胆な買収提案をした。この提案には、UMGが保有するSpotifyの巨額株式売却と、そこから生じるアーティストへの約8.6億ドルの分配が含まれる。なぜこの提案が注目されるのか。そして、音楽クリエイターや業界関係者にとって何が重要なのかを解説する。

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ビル・アックマンがUMGに「New UMG」を提案

ビル・アックマンは長者番付にも名を連ねる著名投資家だ。彼が率いるパーシング・スクエアは、ユニバーサルミュージックグループ(UMG)の買収を提案した。この構想は「New UMG」と呼ばれ、米映画制作会社スカイダンスパラマウントを「New パラマウント」と呼んだことに倣ったものだ。UMGの株価は過去1年間で30%以上下落しており、アックマンはこの現状を「音楽事業のパフォーマンスとは無関係な問題」だと指摘する。彼は、UMGがその真の価値で評価されていないと考えている。

パーシング・スクエアの提案は大きく3点だ。UMGが保有する30億ドル超のSpotify株売却。売却益からアーティストへ最大7億5000万ユーロ(約8億6600万ドル)を分配する。そして、著名なエンタメ業界の重鎮であるマイケル・オーヴィッツを取締役会長に迎えることだ。この提案はまだ拘束力がない。UMG取締役会の承認や株主投票など、クリアすべきハードルは多い。しかし、この一報は音楽業界に大きな波紋を広げている。

テイラー・スウィフトが切り開いた「8.6億ドル」の道

アックマンの提案は、UMGが長年保有してきたSpotify株式の売却を促すものだ。UMGは2008年のSpotify立ち上げ時から出資し、その成長とともに株式を保持し続けてきた。この株式は現在30億ドル以上の価値を持つ。提案では、売却益のうち約17億ドルをUMGの買収資金に充て、残る最大8億6600万ドルをアーティストに分配すると明記している。

このアーティストへの分配には背景がある。2018年、テイラー・スウィフトがUMGとの契約交渉時に、Spotify株売却益をアーティストに「非回収型」で分配するよう求めたのだ。非回収型とは、アーティストがレーベルへの前払い金などを完済していなくても分配を受け取れる仕組みである。UMGはこの要望を受け入れている。つまり、アックマンの提案は、テイラー・スウィフトが切り開いた道を具体化させるものだ。さらに、アックマンはハリウッドの大物であるマイケル・オーヴィッツを取締役会長に据えようとする。オーヴィッツと現UMG会長兼CEOのルシアン・グランジには40年近い関係がある。これは業界内の協力体制を強化し、UMGの企業価値を再構築する強い意志の表れである。音楽ビジネスの市場評価と実態の乖離を是正しようとする動きだ。

UMGの反応と、買収成立の可能性

UMGは「非拘束的・非公式な提案を受け取ったことを確認した」とのみ声明。取締役会はグランジCEOの戦略と経営体制に「完全な信頼を置く」と述べ、事実上の防衛姿勢を示した。

最大の障壁はボロレ・グループ(約18%を保有する筆頭株主)だ。アックマンはボロレの返答を「耳に音楽のように聞こえた(music to my ears)」と表現し、交渉に前向きな感触を語ったが、JP Morganは「株主を納得させるのは容易ではない」と分析している。上場先の移転(アムステルダム→ニューヨーク)も規制上のハードルがある。

一方でUMG株は提案発表後13%急騰しており、市場はこの提案を「現実的な可能性」として織り込み始めている。Bloomberg Op-edは「AckmanのNew UMGは結局、今のUMGと変わらないかもしれない」と懐疑的に論評しており、買収が実現しても実態がどう変わるかは不透明だ。

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参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/selling-a-3b-spotify-stake-michael-ovitz-as-chairman-of-the-board-and-a-100b-company-welcome-to-bill-ackmans-plan-for-universal-music-group/


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