録音音楽市場が4.8兆円——IFPIが初めて「AI詐欺再生」を業界の主要リスクに挙げた

世界の録音音楽市場は拡大を続けている。2025年には4.8兆円規模に達し、成長を牽引するのはストリーミングだけではない。日本市場の存在感が改めて示されている。音楽で生計を立てたいクリエイターにとって、この報告書は未来の戦略を考える上で必読の情報だ。

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世界の音楽市場が4.8兆円規模に到達

IFPI(国際レコード産業連盟)が発表した「Global Music Report 2026」によると、2025年の世界の録音音楽市場は317億ドル(約4.8兆円)に達した。前年比6.4%増を記録し、11年連続の成長である。この収益は、レーベルやディストリビューター、そしてアーティストに支払われる卸売収益を示す。

成長の主要な原動力は、有料サブスクリプションストリーミングだ。収益は前年比8.8%増を記録し、市場全体の52.4%を占めている。有料ストリーミングユーザーは世界で8.37億人にも上る。

特筆すべきは、フィジカルフォーマットの復活だ。2025年には8.0%の成長を遂げた。デジタルの成長率を上回ったのは史上2度目のことである。特にレコードは13.7%増と好調で、19年連続の成長を達成した。地域別では、ラテンアメリカが17.1%増と最速の成長を記録している。世界市場ランキングでは、日本が2位に復帰し、中国はドイツを抜いて4位に浮上した。

ストリーミングとフィジカル。両輪で市場を拡大する要因

市場成長の背景には、ストリーミングサービスの浸透と有料化の加速がある。8億人を超える有料ユーザーは、音楽への継続的な支出が定着したことを示している。手軽に多様な音楽にアクセスできる利便性が、サブスクリプションの価値を高めているのだ。

一方、フィジカル市場の成長は、「根強いファン需要」に支えられている。特に日本市場は、アニメやアイドル文化の影響もあり、コレクターズアイテムとしてのCDやアナログ盤への需要が非常に高い。限定盤や特典付きのリリースが、ファンエンゲージメントを高め、高単価な収益源となっている。この傾向が、フィジカル市場全体の成長を牽引したとIFPIは分析している。

また、中国やラテンアメリカといった新興市場の躍進も注目すべき点である。これらの地域では、スマートフォンの普及とインターネット環境の整備が進み、音楽ストリーミングが急速に拡大している。D2C(Direct-to-Consumer)モデルやアーティストとファンが直接つながるコミュニティ形成が、新たな市場開拓の鍵を握っている。

レポートが初めて明記した「AI詐欺再生」リスク

今回のレポートで注目すべきは、IFPIがAI生成ボットによるストリーミング詐欺を業界の主要リスクとして初めて明記した点だ。

具体的には、AIを使って自動生成した楽曲を大量にアップロードし、同じくAI制御のボットで再生回数を水増しするスキームが急増している。SpotifyやApple Musicは2025年に検出アルゴリズムを強化したが、IFPIによれば「詐欺的再生の検出・排除にかかるコストは業界全体で年間数億ドル規模」に達しているとされる。

インディーアーティストへの影響も無視できない。ロイヤリティはプールされた再生回数で按分されるため、詐欺再生が増えるほど正規アーティストへの支払い単価が下がる構造になっている。IFPI・DSP・ディストリビューター各社が共同で不正排除の枠組み構築を進めているが、AIの進化に対して後手に回っている状況が続いている。

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参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/global-recorded-music-revenues-hit-31-7bn-in-2025-up-6-4-yoy-users-of-paid-music-subscriptions-reach-837m/


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