AI音楽生成で世界をリードするSunoが、最新モデルv5.5を発表した。今回のアップデートの目玉は、ユーザー自身の歌声や音楽スタイルをAIに学習させるパーソナライゼーション機能だ。有料会員200万人、年間経常収益3億ドルを誇るSunoが示す、クリエイター中心のAI音楽の未来とは何か。日本のクリエイターがこの新機能をどう活用できるのか、その可能性を探る。
Suno v5.5がクリエイターの「声」と「スタイル」をAIに取り込む
Sunoはv5.5モデルで、3つの新機能を搭載した。最も注目すべきは「Voices(音声キャプチャ)」だ。ユーザーは自身の歌声を録音またはアップロードし、そのボーカルの個性をSunoが生成するトラックに組み込める。この機能はProおよびPremierサブスクライバー限定で提供され、本人の声であることの認証レイヤーも用意されている。デフォルトで音声はプライベート設定であり、アカウント所有者のみが使用できる。Sunoは「声は誰もが持つ楽器であり、Sunoでそれを使って音楽を作れる」と述べる。
次に「Custom Models(カスタムモデル)」もProおよびPremierサブスクライバー向けだ。自身のカタログからトラックをアップロードし、v5.5を自身のパーソナルなスタイルにチューニングできる。最大3つのカスタムモデルを作成でき、「自分のスタイルを知るパーソナライズされたモデルを構築し、自分らしい音楽を作れる」とSunoは説明している。3つ目の「My Taste(マイテイスト)」は全サブスクリプションで利用可能で、ユーザーが好むジャンルやムードをAIが学習する機能だ。Sunoは一貫して「最高の音楽は人間から始まる」という信念を表明している。
著作権問題と「人間性」重視の戦略
Sunoのv5.5におけるパーソナライゼーション機能の強化は、AI音楽業界が直面する大きな課題への回答だと解釈できる。Sunoは現在、RIAA(アメリカレコード協会)やUniversal Music Group、Sony Music Entertainmentといった大手レーベルから著作権侵害で提訴されている。ライバルであるUdioがUMGやWarner Music Groupとライセンス契約を結び和解する中、SunoはWarner Music Groupとは和解したものの、他の訴訟は継続中だ。KodaやGEMAといった欧州の著作権管理団体とも係争状態にある。
こうした状況下で、Sunoが「人間の声」や「パーソナルなスタイル」を前面に押し出すのは、AIがクリエイターの道具として共存し、創造性を増幅させるというメッセージを強化するためだ。元Warner Music Group幹部のポール・シンクレア、元Merlin CEOのジェレミー・シロタ、元Spotify幹部のサム・バーガーなど、音楽業界の大物を引き抜いている背景にも、業界との対話と正当性の獲得という狙いがある。AIが生成する「汎用的な音楽」から、個々のクリエイターに「パーソナライズされた音楽」へのシフトは、著作権問題への解決策の一つとして提示されている。
「自分の声を使わせるリスク」——慎重論も
Voices機能には一定の懸念も存在する。Sunoに声を学習させた場合、そのデータの利用範囲や削除の保証がどこまで及ぶかは現時点で明確でない。Sunoが現在複数の著作権訴訟を抱えている(RIAA・UMG・Sony Musicほか)ことを考えると、「自分の声データを預ける相手として信頼できるか」は慎重に判断すべきだという声もある。
一方でSunoは、声はデフォルト非公開・本人のみ使用可・ランダムフレーズ認証による本人確認という3重の保護を強調する。Warnerとの和解後は業界との協調路線を選んでいることも、リスク軽減の姿勢として評価する見方もある。
機能の新しさよりも、「自分の声をどこのプラットフォームに預けるか」という判断が、今後のクリエイターに問われる問いになってきた。
X(Twitter)での反応
you ever wonder what you would sound like if you were a rock star?
Suno might be cooking up "Personal Voice" aka voice cloning
I assume that's what they mean by "getting personal"
…or do they mean dis tracks?
either way, I'm on board! https://t.co/Og9HzZ3S39
— Wes Roth (@WesRoth) March 25, 2026
参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/suno-launches-v5-5-ai-model-with-voice-capture-and-personalization-features/

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