SunoやUdioで作った曲をTuneCoreで配信しようとしたら、審査に落ちた──そんな報告が2026年に入って急増している。
TuneCoreは、100%AI生成の楽曲を原則として配信不可とする方針を打ち出した。同時に、Deezerが「AI音楽をアルゴリズムの推奨から削除する」ためのAI検出ツールを導入するなど、プラットフォーム全体で規制が強化されている。
「AI音楽で副業」を考えていた人への警告であり、既にSunoで曲を作っているアーティストには実害直結の情報だ。
TuneCoreのポリシー:何がNGなのか
TuneCore Japanのヘルプページによると、審査で不承認になる条件は以下の通りだ。
– 楽曲のすべての要素(メロディー・コード・アレンジ・ボーカル・歌詞など)がAIによって生成されている
– 「人間の創作表現」が一切含まれていない
逆に言えば、人間の創作が入っていれば配信可能という解釈になる。しかし「どこまで入れれば人間の創作と認められるか」の基準は明示されていない。
実際に配信を試みたユーザーの声が、この問題の深刻さを端的に表している。
まいった。
TuneCoreは、SUNOやUdioの生成音楽の配信を受け付けないとの回答をもらった
色々、苦労してるんだけどね
さて、どうしよう。 お金払ったけど、利用価値なしだ
手拍子でも入れて、、
審査がグレーで面倒だから、sprayerを試すか…😾 #TuneCore #SUNO #Udio #sprayer #生成AI— Itami Shigeyuki:イタミ::シゲユキ (@buzzlyhan) April 8, 2025
「お金払ったけど利用価値なし」という言葉が示すのは、TuneCoreの料金体系とAI拒否ポリシーの矛盾だ。TuneCoreは年額制でリリース数無制限のプランを提供しているが、AI生成曲が拒否される場合、その料金は事実上無駄になる。ユーザーからの報告では、SunoやUdioで生成した楽曲をそのまま提出すると高確率で落とされており、歌詞の一部を自分で書いた場合でも拒否されるケースが出ている。
なぜ今、一斉に規制が強化されているのか
背景には、米国でのAIストリーミング詐欺事件とSuno・Udioへの著作権訴訟がある。
2025年〜2026年にかけて、AIで大量生成した楽曲をストリーミングサービスに流し込み、再生数を水増しして収益を得る「ストリーミング詐欺」で複数の人物が起訴された。プラットフォーム側はAI生成コンテンツに対してより厳格な審査を余儀なくされた。
また、レコード会社のSunoおよびUdioへの著作権訴訟(2024年提起)が進行中であり、SunoはWarner Musicとの和解に応じてライセンスされた音源での学習モデルへの移行を発表した。この法的動向がプラットフォームの規制強化を後押ししている。
配信各社の現在地

傾向として、完全なAI生成楽曲の締め出しと配信しても推薦アルゴリズムから外すという2方向の規制が進んでいる。
TuneCoreのAI排除に先立って、Deezerはすでに今年1月にAI検出ツールを導入していた。
TuneCoreが 100%AI生成曲 の排除に舵を切りましたが、先立つこと今年1月には Deezer も音楽ストリーミング向けに最先端のAI検出ツールを導入してました
目的は「AI音楽をアルゴリズムの推奨から削除」
おそらくですが今後、配信各社この動きに追従する可能性が高いかなと想定してます…— いにしえ@AI Creator|Will Oldgram (@old_pgmrs_will) April 16, 2025
「配信できるかどうか」だけでなく「配信しても見つけてもらえるか」が次の問いだ。DeezerがAI音楽をアルゴリズム推薦から外す動きと、TuneCoreの排除方針が組み合わさると、AI生成楽曲は「配信できても聴かれない」状況に追い込まれる。この動きが各配信サービスに追従していくなら、そのリスクはさらに高まる。
「グレーゾーン」でどう動くか
完全なAI生成は拒否されるが、「人間+AI」の共同制作はまだ議論の余地がある。実務的には以下の判断基準が参考になる。
配信可能性が高いケース
– 自分でコード・メロディー・歌詞を書き、AIでアレンジのみを生成した
– ボーカルは自分で録音し、AI生成の伴奏に乗せた
– AIが生成したものをDAWで大幅に編集・再構成した
配信リスクが高いケース
– SunoやUdioで「Generate」ボタンを押してそのまま出力したもの
– テキストプロンプトだけで曲全体を生成したもの
– 人間が関与したのは「プロンプト入力」だけの場合
DistroKidなど一部サービスでは「AI生成楽曲」として申告すれば配信できるが、その場合はSpotifyなどでAI生成ラベルが付き、推薦アルゴリズムの恩恵を受けにくくなる可能性がある。
Suno v5.5との関係
Suno v5.5のCustom Models機能(自分の楽曲スタイルを学習させる)は、「人間のスタイルが反映されている」という主張の根拠になりうる。しかし現時点では、プラットフォームがこれを「人間の創作」として扱うかは不明だ。
配信を前提にするなら、Sunoはあくまで「デモ生成ツール」として使い、最終的な楽曲は自分でDAWで完成させるというフローが現実的だ。AI音楽の配信戦略は2段階で考える必要がある。まず「審査を通過できるか(人間の創作要素をどう担保するか)」、次に「通過しても推薦から外れないか(AIラベルの影響)」。楽曲制作プロセスに人間の関与を記録・証明できる形で残しておくことが、今後の標準的な対策になるだろう。
参考URL: https://support.tunecore.co.jp/hc/ja/articles/45273817681945

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