AI生成楽曲の配信を検討しているクリエイターにとって、著作権要件の確認は必須だ。JASRACのガイドラインに基づき、人間の創作的寄与が認められるかどうかが、著作権管理の対象となるかの重要な判断基準となる。自身の作品が法的な問題をクリアしているか、確認のうえ配信を進めるべきである。
結論:何をすべきか / 何を選ぶか
JASRACに管理委託を検討するAI楽曲は、人間の創作的寄与があるか確認が不可欠である。AIが自律的に生成した部分のみで構成される作品は、JASRACの管理対象外となる。歌詞や楽曲の一部をAIが生成し、残りを人が創作した場合は、人が創作した部分のみが管理対象だ。虚偽の届け出は法的責任につながるため、正確な情報に基づいて申請するべきである。
公式ドキュメントが定める基本ルール
JASRACは、AIを利用した作品のうち、人間の創作的寄与が認められるものを管理対象としている。シンプルな指示に基づいてAIが自律的に生成した歌詞や楽曲は著作物に該当しないため、JASRACでは管理をお引き受けできないとしている(出典)。このガイドラインは2026年3月30日に更新された。
歌詞または楽曲の一方をAIが自律的に生成し、もう一方を人が創作した作品の場合、人が創作した歌詞または楽曲のみが管理対象となる。J-WIDにはAIが自律生成した歌詞または楽曲は「非著作物(AI自律生成)」、所属団体欄には「AI」と表示される(出典)。作品を届け出る際には、「作詞(又は作曲):AI 自律生成」など、その旨が分かるように記載する必要がある。JASRACは、管理委託契約約款第9条に基づき、委託者が自身で創作的に寄与した著作物であることを保証できることを求めている。届け出内容に虚偽があった場合は保証義務違反となり、委託者に法的責任が生じる可能性がある。
実務上のチェックリスト/手順
* AIが自律的に生成した部分と、人が創作的に寄与した部分を明確に区別する。
* シンプルな指示のみでAIが自動生成した箇所は「人間の創作的寄与がない」と判断する。
* AIが自律生成した歌詞または楽曲が含まれる場合、作品届に「作詞(又は作曲):AI 自律生成」と明記する。
* 虚偽の記載は法的責任につながるため、事実に基づいた届け出を行う。
* AIを利用したかどうかにかかわらず、作品が既存の著作物に類似していないかを最終チェックする。
* 著作権侵害が認められれば、損害賠償請求や差止請求、刑事罰の対象にもなり得る。
ハマりどころと回避策
AI生成楽曲の届け出において、最も重要なのは「人間の創作的寄与」の有無だ。AIが自律生成した部分を人が創作したと偽って届け出た場合、JASRACの保証義務違反となり、法的な責任を負う可能性がある。これは「著作者を詐称して作品届を提出する」行為に該当するため注意が必要である。
JASRACは、届け出内容に疑義がある場合、作品届に関する資料の提出を求めることがある。この場合、委託者は速やかに資料を提出する義務があるため、創作過程の記録を残しておくことが回避策となる。また、AI利用の有無にかかわらず、既存の著作物との類似性がないかを確認することは必須である。生成AIによって意図せず既存作品と似たものが生まれる可能性も考慮し、リリース前の最終確認を徹底するべきである。
日本のクリエイター視点の補足
JASRACは、生成AIの急速な普及に対し、クリエイターが安心して創作に専念できる環境の実現を求めている。特に著作権法第30条の4の改正を含めた抜本的な対応を要求している状況である(出典)。現行法では、生成AIの開発のための機械学習が原則として権利者の許諾なしで行えるとされており、これが多くのクリエイターの懸念材料となっている。
JASRACは、人間の個性の発露として創作された著作物が、生成AIのための単なるデータとして扱われるべきではないという立場だ。クリエイターが自身の作品が学習素材として利用されるか否かを判断する機会の確保を求めている。このような動きは、日本のクリエイターの権利保護を強化し、創造のサイクルを維持することを目指している。
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