カナダの音楽著作権団体SOCANは、AIが生成する音楽におけるクリエイターへの対価支払いのために、Musical AIと提携した。この動きは、AIが楽曲を学習・使用した際の収益分配を具体的に構築しようとするものだ。著作権侵害を巡る訴訟が相次ぐ中、クリエイターがAIから適正な対価を得る道筋を示す事例だと言える。この提携は、日本のクリエイターや音楽業界にどのような示唆を与えるのかを解説する。
カナダ著作権団体SOCANがAI帰属技術を承認
カナダの音楽著作権団体SOCANは、AI生成音楽の帰属と支払いのため、Musical AIを正式な技術パートナーとして承認した。目標は、AIがクリエイターの作品を利用した際に、適切なクレジットと報酬が支払われるインフラを構築することだ。SOCANはカナダ最大の会員制音楽権利団体であり、20万人以上のソングライター、作曲家、音楽出版社を代表している。
Musical AIは、ジェネレーティブAI向けの同意管理および帰属ツールを提供するカナダのテクノロジー企業である。音楽著作権団体がAI帰属企業を技術パートナーとして正式に認めるのは、世界でも初の動きの一つとされている。SOCANはこの提携において、AIはクリエイターの作品をオプトイン形式でのみ使用すべきであること、そして作品がAI生成物に使用された場合は必ずクレジットされ報酬が支払われるべきだ、という2つの原則を掲げている。
AIに貢献した楽曲の割合を算出する仕組み
Musical AIの技術は、AIが生成したトラックを分析する仕組みだ。その楽曲が特定の原盤や原曲にどの程度の割合で由来するかを推定できる。この分析結果は、共同制作者が楽曲の所有権を分割する際に用いる「スプリットシート」のように、権利帰属と支払いをサポートする報告書として活用される。
SOCANのCEOであるジェニファー・ブラウンは、AIが音楽業界を再構築する中で、クリエイターは透明性、クレジット、公正な報酬を得るべきだと強調している。Musical AIのCEOであるショーン・パワーも、「最初のステップは同意だ。次のステップは、音楽がAI出力にどのように貢献し、価値がアーティストやソングライターにどのように流れるかを示す帰属である」と述べている。この提携は、AI企業による著作権音楽の使用に関する継続的な紛争の中で生まれたものだ。例えば、RIAAは、過去にSunoやUdioといったAI音楽生成サービスを著作権侵害で提訴している。
Warner Music GroupはSunoと和解しライセンス提携を結び、Universal Music GroupもUdioと和解しライセンス契約を締結している。しかし、Sony Musicはどちらとも和解に至っておらず、Universal Music GroupもSunoとの係争は継続中だ。SOCANは、AI学習のための音楽の無許諾使用を阻止するため、カナダ政府に政策提言を行う全国キャンペーンも展開している。
日本のクリエイターがAI時代に稼ぐために使える示唆
SOCANとMusical AIの提携は、AI生成音楽における収益分配モデル構築の具体的な一例を示すものだ。日本のクリエイターや著作権管理団体は、この仕組みを参考に、透明性のあるAI利用ガイドラインと収益分配スキームの策定を急ぐべきである。クリエイターは、自身の作品がAIに利用される際の同意と補償に関する意識を高める必要がある。
オプトイン方式の導入は、自身の作品がAI学習にどのように使われるか、そのコントロール権をクリエイターが持つことの重要性を強調する。国内の著作権管理団体も、早急にAI帰属技術を評価し、パートナーシップの可能性を探るべきだろう。AI生成音楽から収益を得る新たな道を拓くために、このような技術的な解決策への投資は不可欠である。
補強ソースに見られるように、大手レーベルでさえAI企業との間で和解と訴訟が混在する状況だ。クリエイター個人も、自身の権利を守るための契約知識や交渉力を身につけることが、これからのAI時代に「稼ぐ」ために強く求められる。
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