AIボーカルの商用利用を検討するクリエイターには、著作権に関する正確な知識が欠かせない。ElevenLabsが提供する一部のボーカルはロイヤリティフリーで利用できるが、既存楽曲の扱いやAI生成物の著作権には注意が必要だ。
本記事では、ElevenLabsの提供内容とJASRACが定める著作権の基本を解説する。作品を安全に商用展開するための指針として活用してほしい。
結論:何をすべきか / 何を選ぶか
AIボーカルの商用利用では、生成元のサービス規約と日本の著作権法の双方を理解することが重要だ。
ElevenLabsが提供する無料ボーカル音楽は、YouTube動画やSNS、コンテンツ制作でロイヤリティフリーに利用できる。ただし、既存の著作物(歌詞・メロディなど)をAIボーカルで表現する場合は、別途著作権処理が必要となる。
公式ドキュメントが定める基本ルール
ElevenLabsは「無料ボーカル音楽MP3ダウンロード – ロイヤリティフリー&著作権なし」と明記している。これらのボーカルはYouTube動画やSNS、コンテンツ制作のためにダウンロード可能である(出典)。
また、「無料商用音楽MP3ダウンロード – ロイヤリティフリー&著作権なし」とされた商用音楽トラックも提供されている(出典)。
JASRACによると、著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したもの」で「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とされる(出典)。著作権は創作された時点で著作者に発生し、出願や登録は不要だ。
著作者の権利は大きく2種類に分かれる。
- 財産的な利益を守る著作権(財産権):複製権、演奏権、公衆送信権など
- 人格や名誉に関わる著作者人格権:公表権、氏名表示権、同一性保持権など
実務上のチェックリスト/手順
- ステップ1:ElevenLabsが提供する「無料ボーカル音楽」または「無料商用音楽」を利用する。YouTube動画やSNS、コンテンツ制作にダウンロードしてロイヤリティフリーで使用できる(出典)
- ステップ2:AIでカスタム音楽を生成する場合、その生成元となるAIツールの利用規約を必ず確認する
- ステップ3:既存の歌詞やメロディを含む作品をAIボーカルで利用する際は、その著作権者から許諾を得る。JASRAC管理楽曲であれば、JASRACへの利用手続きが必要となる
ハマりどころと回避策
- 既存楽曲の無許諾利用: AIボーカルで既存曲のカバーやアレンジを行う場合、複製権・演奏権・公衆送信権などが関係する。JASRAC管理楽曲では、利用方法に応じた支分権ごとの利用手続きが必要となる(出典)
- 同一性保持権の侵害: 既存の著作物をAIボーカルで改変すると、著作者の意図しない変更となる可能性がある。これは著作者人格権の一つである同一性保持権を侵害するおそれがある。JASRACは編曲や翻案の許諾はできないとしている(出典)
- 著作隣接権の確認不足: 市販音源を利用する場合、著作権のほかにアーティスト(実演家)やレコード製作者の著作隣接権も考慮する必要がある。利用方法によって必要な権利処理が異なる点に注意したい(出典)
日本のクリエイター視点の補足
日本の著作権法では、著作物は「思想又は感情を創作的に表現したもの」と定義される。AI生成物がこの定義に合致するかどうかについては、現時点で明確な判例や統一見解が固まっていない。
そのため、AIが生成したボーカル自体に自動的に著作権が発生すると断定するのは難しい状況だ。
実務的には、AIボーカルを組み込んだ楽曲を制作する際、自身が創作した要素(メロディ・歌詞・アレンジなど)が著作権保護の対象となる点に重点を置くのが現実的である。既存の楽曲や歌詞を参考にAIボーカルを生成する場合は、元ネタの著作権に十分配慮する必要がある。
参考URL:
- https://elevenlabs.io/ja/music/vocals
- https://elevenlabs.io/ja/music/commercial
- https://www.jasrac.or.jp/aboutus/copyright





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