Spotifyのアルゴリズムに翻弄されるアーティストへの処方箋として、新しいストリーミングサービス「Coda Music」が米国とカナダでローンチした。UMG・Sony・Warner 3大メジャー全社とのライセンス契約を持ちながら、プレイリストはすべて人間が作る——アルゴリズムを一切使わないという異色の設計だ。
Coda Musicが仕掛ける「人間優先」のストリーミング
新たな音楽ストリーミングサービスCoda Musicが米国とカナダでローンチした。同サービスは、アルゴリズムによる選曲を全面的に廃止している。その代わりに、ユーザーが作成するプレイリストやソーシャルシェア機能を重視しているのだ。真の音楽発見は「人間」によって生まれると、CEOのRandy Fusee氏は主張する。
Coda Musicは、主要3社を含むメジャーレーベルすべてとライセンス契約を結んでいる。さらにMerlinやBeggars Groupといった主要インディーズとも契約済みだ。これにより、グローバルな音楽カタログを網羅している。月額10.99ドル(個人プラン)のプレミアムサービスとして提供される。
最大の特徴は「FanDirect」プログラムにある。購読者は月額料金の中から1ドルを、好きな独立系アーティストに直接分配できる仕組みだ。さらに、業界最高水準の1ストリームあたりの支払いレートも主張している。アーティスト報酬問題に対し、「per-stream」ではなく「per-fan」という新しいアプローチで挑む。
アルゴリズムの限界とコミュニティの力
現在の主要ストリーミングプラットフォームは、アルゴリズムに支配されている。これはアーティストやマネージャーにとって、しばしばフラストレーションの原因であった。プラットフォームの利益を優先し、アーティストの多様性や真のつながりを阻害しているという批判は根強い。Coda Musicは、この機械駆動のアプローチに直接異議を唱える。
CEOのFusee氏は、「もしアーティストAが好きなら、アーティストBもどうぞ」といったリサイクルされたレコメンドでは真の発見は生まれないと語る。人間だけが、予期せぬ瞬間の発見をもたらすのだ。この思想は、中国のNetEase Cloud Musicの成功にヒントを得ている。同サービスは、ストリーミングとソーシャル機能を組み合わせ、ユーザーがコメントを共有したり、アーティストが直接ファンと交流したりできる。ユーザーは1日あたり約90分利用しているという実績を持つ。
Coda Musicは、既存のプラットフォームが「受動的な消費」を促すのに対し、「真のつながり」を重視する。アーティストの「ミドルクラス」を再構築し、ファンが音楽シーンを形作る力を与えることを目指している。共同創業者には、NFLやMLBで利用されるタブレットシステムを開発したRandy Fusee氏とJeff Teles氏、そしてBMGでクリエイティブ戦略を担ったRussell Gaskins氏など、深いテックと音楽のバックグラウンドを持つメンバーが揃っている。
新参サービスが超えなければならない壁
Coda Musicの構想は魅力的だが、課題も多い。最大の壁は「ネットワーク効果」だ。SpotifyやApple Musicには何億人もの既存ユーザーとプレイリストの蓄積がある。それに対抗するには、Codaが目指す「人間キュレーション」の質を急速に高め、かつユーザーを引き込む必要がある。
FanDirect(月$1の直接分配)は確かに差別化になるが、$1を受け取れる「独立系アーティスト」の定義や対象範囲は現時点で不明確だ。また業界最高レートを謳うper-streamレートも、具体的な数字は公表されていない。
NetEase Cloud Musicをモデルに挙げる点は興味深い。中国ではソーシャル×音楽の融合が機能したが、米国・欧州・日本では文化的な受容が異なる。2026年に欧州・アジア展開を予定しているが、日本での普及には相応の時間がかかるとみるのが現実的だろう。
参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/meet-the-new-music-streaming-service-thats-ditched-algorithmic-playlists-with-major-label-licensing-deals-secured/





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