MIDiA Research、音楽クリエイターエコノミーの未来レポートを発表

MIDiA Researchが、音楽クリエイターエコノミーに関する最新レポートを発表した。AIの急速な進化が、リスナーとクリエイターの境界を曖昧にしている現状を解説している。音楽業界で生きるクリエイターや起業家が、この変化を理解し、今後の戦略を立てる上で必読の内容だ。

目次

1.48億人が「音楽クリエイター」になった現実

MIDiA Researchは、最新レポート「The Future of the music creator economy」を公開した。レポートはAIを「ブラック・スワン・イベント」と位置付け、クリエイターエコノミーと音楽業界の未来が不可分だと指摘している。2023年から2025年にかけ、生成AI音楽の月間アクティブユーザー(MAU)は約3倍に増加した。この期間で、世界の既存ミュージシャンベースの約9倍ものユーザーが新たに加わっている。

具体的に、2020年から2025年の間に、世界のミュージシャン数は33%増えた。生成AIユーザーを含む音楽クリエイター総数は167%増加し、1億4870万人に達している。現在、生成AIユーザーが最も速い成長を見せている状況だ。リスナーとクリエイターの境界にある「グレーゾーン」が、リスニングと創作活動のアテンション争奪戦の舞台となっている。

AIが「リスナー」を「クリエイター」に変える

AIは、クリエイティブな活動への「漏斗」を大きく広げている。これにより、新しい初心者クリエイターや熱心な音楽スーパーファンが創作に参加しやすくなっている。2033年までに、AIは音楽ソフトウェア、サウンド、サービス収益全体の38%を占めるとMIDiAは予測する。DAWは依然として中心的なツールだが、その多くがAI機能を統合した「AI DAW」に進化するだろう。

クリエイターツール企業にとっては、新規参入の初心者によるクリエイターベースの希釈が起きる。その結果、コンバージョン率は低下するかもしれないが、新たな購入者のボリュームは大幅に増える見込みだ。DSP各社にとっては、リスナーの時間、注意、そして支出を巡る新たな競争が生まれる。音楽業界は著作権やロイヤリティ収入への影響に注力しがちだ。だが、それ以上に重要なのは、AIが何百万ものリスナーをクリエイターに変える潜在力であるとレポートは強調している。AIは他のツールと同様に、本質的に善悪はない。しかし、「モデル崩壊」のような意図しない結果や悪意のある利用から業界を守るための対策は必須だ。

日本のクリエイターが今すぐ「使える」視点

日本のクリエイターや音楽業界は、AIによる「リスナーのクリエイター化」という潮流を無視できない。これはビジネスチャンスと捉えるべきだ。具体的な示唆は3つある。

  • AIツールを積極的に活用し、自身のクリエイティブプロセスに取り入れる。新たな表現の幅が広がる。
  • 初心者クリエイター向けのサービスやプラットフォームを考案する。市場の拡大が期待できる。
  • D2C戦略でAIを活用し、創作体験を提供。スーパーファンを惹きつけ、コミュニティを活性化させる鍵だ。
  • ただし、著作権問題や「モデル崩壊」のリスクには注意が必要である。AIの倫理的な利用と、人間らしい表現を守る議論は不可欠だ。この変化を柔軟に活かすことが、日本のクリエイターに求められている。


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