音楽ストリーミングサービスDeezerに、毎日6万曲ものAI生成楽曲がアップロードされている。これは配信される全楽曲の約4割に迫る数字だ。その多くは詐欺目的で、あなたのロイヤリティプールを蝕んでいる。この問題とDeezerが取る対策を掘り下げる。
Deezerが直面するAI楽曲の氾濫と詐欺の実態
フランスの音楽ストリーミングサービス Deezerは、毎日6万曲を超えるAI生成楽曲を受け入れていると発表した。これはプラットフォームに配信される全楽曲の約39%に相当する。この数字は2025年1月の1万曲から急増し、同年9月には3万曲、11月には5万曲と、わずか1年で6倍に膨れ上がった形だ。
Deezerが検出・タグ付けしたAI生成楽曲は累計で1340万曲以上。さらに、これらのAI楽曲によるストリームの最大85%が詐欺的行為だと判明している。詐欺ストリームは収益化されず、アーティストへのロイヤリティプールからも除外される仕組みだ。
なぜAI楽曲は急増し、何が問題なのか
AI生成楽曲の急増は、その作成が容易になったことに起因する。CEOのアレクシス・ランテルニエ氏は「AIが生成する音楽は、人間の作品とほぼ見分けがつかなくなっている」と語る。これを利用し、再生回数を水増しして収益を不正に得ようとする詐欺行為が横行しているのだ。
Deezerは、この問題に対処するため独自のAI検出技術を開発した。この技術はSunoやUdioなどの主要な生成モデルによる100%AI生成楽曲を特定できる。特定のデータセットに依存せず、汎用性の高い検出を可能にしている点が特徴だ。DeezerはAI生成楽曲をアルゴリズム推薦や編集プレイリストから除外する唯一のプラットフォームだと強調する。さらにこの検出技術を著作権管理団体Sacemを含む音楽業界全体にライセンス供与する方針だ。
初の有罪判決が出た。被害額は8億円超
詐欺ストリームは「理論上の問題」ではない。2026年3月、AIを使ったストリーミング詐欺で史上初の有罪判決が出た。
Michael Smithという人物は、AIで生成した楽曲を大量にアップロードし、ボットで再生数を水増しする手口で2017年から2024年にかけて約800万ドル(約12億円)のロイヤリティを詐取した。1日に66万回の再生を稼ぎ出していた計算になる。

この事件が示すのは、詐欺の規模と巧妙さだ。あなたが正直に楽曲をリリースしてロイヤリティプールに手が届かないとき、その一因がこうした詐欺行為にある。Deezerの動きは業界全体の問題に対する最初の本格的な反撃と言える。日本のJASRACや配信プラットフォームがどう対応するかは、今後の動向次第だ。
参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/60000-ai-tracks-hit-deezer-daily-as-platform-moves-to-license-detection-tech-to-wider-music-industry/

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