音楽業界を揺るがした、Universal Music Group(UMG)とBelieve(TuneCoreの親会社)の著作権侵害訴訟が和解した。UMGが「産業規模の著作権詐欺」とまで表現したこの問題。不正配信の実態と、これからの配信プラットフォームの責任について考えていく。
UMGが5億ドルの賠償を求め、Believeを提訴
事の発端は2024年11月、UMGがBelieveとそのディストリビューションプラットフォームTuneCoreを提訴したことにあった。UMGはBelieveが「産業規模の著作権侵害」によってビジネスを構築していると主張。少なくとも5億ドル(約760億円)の損害賠償を求めていたのだ。
訴訟の中心にあったのは、「改変されたオーディオ」の不正配信である。既存の人気曲を速度変更したり、リミックスしたりしたバージョンが、権利者の許可なく主要ストリーミングプラットフォームにアップロードされていた。例えば、「Kendrik Laamar」や「Jutin Biber」といった意図的な誤字アーティスト名で、ABBAやドレイク、レディー・ガガなどのヒット曲が配信されていた。
さらに、YouTubeのContent IDシステムを悪用し、権利のないコンテンツを収益化しようとした点も指摘されていた。たとえYouTubeで権利侵害が認められても、同じトラックを他のプラットフォームで配信し続けていたという。今回の和解により、すべての請求は棄却された。和解の金銭的な条件は開示されていない。
不正配信の撲滅へ、業界全体の動き
UMGとBelieveの訴訟は、デジタル配信が一般化する中で浮上した、音楽業界全体の大きな課題を浮き彫りにした。不正な「改変トラック」は、正規の権利者への収益を圧迫し、音楽エコシステムを損なうものだ。
UMGは2024年初めにもTikTokとの間で同様の問題を抱え、楽曲カタログを一時的に引き上げる事態に発展した。その後、TikTokがAI生成音楽や改変音楽からの保護を約束し、新たなライセンス契約を結んでいる。このような大手レーベルの動きは、不正配信への強い姿勢を示している。
実際に、TikTokのディストリビューションサービスSoundOnは、コンテンツ認識企業ACRCloudと提携し、ストリーミングプラットフォームに到達する前に不正オーディオを検出する新技術の導入を発表した。これは、配信プラットフォーム自身が、アップロードされるコンテンツの正当性に対し、より強い責任を負う方向にシフトしていることを明確に示している。
配信プラットフォームの選び方が変わる
今回の和解で明らかになったのは、TuneCoreのような大型ディストリビューターでも不正コンテンツの流通管理が問われる時代になったという事実だ。「Kendrik Laamar」「Jutin Biber」といった意図的な誤字名義で偽楽曲を流し、本物のアーティストの収益を食い荒らす手口は、正規クリエイターにとって他人事ではない。自分の曲名やアーティスト名でDSP検索し、類似コンテンツがないか定期確認することが今後の基本動作になる。
参考URL: https://www.musicbusinessworldwide.com/umg-and-believe-settle-lawsuit-that-alleged-industrial-scale-copyright-infringement-of-universals-music/

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