SoundCloudが新しいロイヤリティシステム「Fan-Powered Royalties」を導入した。これは、従来の分配方式とは異なり、リスナーが実際に聴いたアーティストに直接収益が支払われる仕組みだ。この取り組みは、音楽業界で長く議論されてきた「ユーザーセントリック」モデルを大規模に展開する初の試みである。インディーアーティストにとって、収益を大幅に増やす機会となるだろう。
SoundCloudが示す、新しいロイヤリティ分配の形
SoundCloudは2021年3月、インディーアーティスト向けの新しいロイヤリティシステム「Fan-Powered Royalties」を発表した。このシステムは同年4月1日から導入されている。約10万人のインディーアーティストが対象だ。各リスナーが支払うサブスクリプション料金や広告収入が、そのリスナーが実際に聴いたアーティストに直接分配される。これは、全ての収益をプールし、再生回数の市場シェアに応じて分配する従来の「プロラタ」方式とは大きく異なる点である。SoundCloudは、この新しいモデルが「ロイヤルなファンを持つ成長中のインディーアーティストに利益をもたらす」と説明する。
なぜインディーアーティストに恩恵があるのか
従来のプロラタ方式では、サービス全体の再生数に応じて収益が分配される。そのため、グローバルなポップスターやヘビーローテーションされる楽曲が優位に立つ仕組みだった。しかし、ファン重視型ロイヤリティでは、リスナーが応援するアーティストに直接収益が届く。これは、少数の熱心なファンでも大きな収益貢献が可能になることを意味する。SoundCloudの試算では、フォロワー12,700人のアーティストChevyの月間ロイヤリティは217%増加する見込みだ。また、フォロワー124,000人のVincentは、月間120ドルから600ドルへと5倍の収益増が見込まれる。
この画期的なシステムが実現できた背景には、SoundCloudとインディーアーティストの直接的な関係がある。同社は、SoundCloud Premier、Repost by SoundCloud、Repost Selectといったディストリビューションサービスを通じて、約10万人のアーティストと直接的な収益関係を築いている。これにより、主要レーベルの合意なしに、プラットフォーム内でプロラタ方式とファン重視型を併用する形で新しいモデルを導入することが可能となったのだ。
X(Twitter)での反応
Music Business Worldwideの記事は、業界内で大きな注目を集めた。ストリーミング収益の公正な分配については長年の課題であり、SoundCloudのこの実験的な試みに対して多くの議論が巻き起こっている。

日本のクリエイターが「稼げる」ヒント
SoundCloudが示した「Fan-Powered Royalties」は、音楽業界全体の収益分配モデルに一石を投じる実験だ。これまでユーザーセントリック方式は、導入に伴う管理コストや、大手レーベルの合意形成の難しさから、なかなか実現してこなかった。しかし、今回のSoundCloudの取り組みは、その実現可能性をデータで示す最初のケースとなる。
日本のクリエイターにとって、これは「稼げる」ヒントにあふれている。
大手DSPが追随するかは不明だが、この実験の結果次第で、日本の音楽エコシステムにも大きな変化が訪れるかもしれない。
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