D2FプラットフォームのEVENが新サービス「STUDIO」をローンチした。これはクリエイターが自身のドメインで音楽、チケット、グッズ販売、ライブ配信、コミュニティ運営までを一元的に行うためのものだ。複数のプラットフォームに分散しがちなD2Fチャネルを統合し、アーティストがファンとの直接的な関係を深め、収益を最大化する新たな手段となる。
EVENが「STUDIO」をローンチ
Direct-to-fan(D2F)プラットフォームのEVENは、新サービス「STUDIO」を発表した。これはアーティストが自身のウェブサイトをファンとの直接的な交流拠点に変えるためのプロダクトである。音楽リリース、チケット販売、グッズ販売、ライブストリーム、コミュニティ構築、特別なアクセス提供まで、幅広い機能を統合している。
STUDIOはアーティスト自身のドメインで稼働する。これにより、従来複数のプラットフォームに散らばっていたファン体験を一つに集約するのが狙いだ。また、従来のアルバムプレオーダーの仕組みも再考された。ファンはアルバム購入後、リリース日を待たずに最大4曲の先行アクセスを即座に得られる。
この早期アクセス機能は、ファンがアルバムをすぐに購入する強力な動機付けとなる。購入されたアルバムは、適用されるチャートルールに基づき、LuminateやOfficial Charts Company(OCC)に報告され、チャートセールスとしてカウントされる。EVENはこのモデルを「購入が音楽を始める」と表現している。
STUDIOがD2Fを変える仕組み
STUDIOが提供する最大の価値は、複数のプラットフォームに分散していたファン体験を集約する点にある。EVENのCEO、マグ・ロドリゲス氏は「アーティストはストリーミング、ソーシャル、ライブで巨大なオーディエンスを築いている。しかし、その関係は彼らがコントロールできない場所に分断されている」と指摘する。STUDIOはアーティストに自身の「目的地」を与えるものだ。
このプラットフォームはストリーミングサービスの競合ではなく、補完関係にあるとEVENは位置付けている。「EVEN and streaming, not EVEN or streaming」という戦略を掲げる。アーティストはDSPで広範なリーチを確保しつつ、コアファンにはSTUDIOを通じて直接購入と特典を提供できるのだ。購入直後から音楽が聴ける体験は、ファンがすぐにアルバムを買う明確な理由を生み出す。
STUDIOは単なるアルバム販売サイトではない。その機能は以下のように多岐にわたる。
また、STUDIOはレーベルやマネージャー、ディストリビューターにとって、全ての直接購入が「許可されたファン関係」の始まりとなる。プロモーターやチケットパートナーも、アルバム購入者をチケット購入者へ、さらにグッズやホスピタリティの顧客へと繋げられる。EVENは、アーティストがクリエイティブなビジョンを提供し、EVENがプロダクトとインフラを構築・運用すると述べている。
日本のクリエイターへの示唆
日本のクリエイターは、複数のプラットフォームでコンテンツや商品を展開する中で、ファンとの関係構築と収益化に課題を抱えている。EVENの「STUDIO」は、この状況を大きく変える可能性を秘めている。自身のウェブサイトをD2Fのハブとすることで、ストリーミングサービスでのリーチを維持しつつ、コアファンには独自の体験を提供できる。
例えば、新作リリースの際に以下の施策を一元管理できる。
これにより、ファンはアーティストの「ホーム」で全てが完結する利便性を享受できる。クリエイターは、ファンの行動データに基づいたファンマーケティングを展開しやすくなるだろう。D2Fの可能性を最大限に引き出し、新たな収益源を確保する上で、「STUDIO」のような統合プラットフォームの登場は、日本のクリエイターにとって追い風となるに違いない。
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